会計で会社をよくできる-6

第6回 管理会計への挑戦 -予算管理-

会計で会社を良くするためには、会計を会社経営に活せるように工夫しなければなりません。その第一歩は特に開業当初やまだ規模が大きくなっていない場合には経理業務を社長業務と位置づけることです(第2回参照)。第2に月次試算表を勘定科目単位で作成するのではなく明細管理することです(第3回参照)。第3は会計識字力を向上させることです(第4回参照)。そして第4は見るポイントを知ることです(第5回参照)。 今回はその応用編として管理会計の世界、予算管理を紹介します。

 

管理会計とは自社内で会計を活用するために行なう会計手法のことを言います。財務諸表とは違い、一般規則等に縛られることはありませんので、自社で活用しやすいようにカスタマイズして作成すればよいことになります。
その代表格が今回ご紹介する『予算管理』です。

 

予算管理とは、今期の収益目標の道すじである利益計画表と月次試算表とを組み合わせた会計資料です。利益計画表を策定しても、実績と照らし合わせなければ、その計画表は絵に描いた餅となってしまいます。そうさせないためにも、計画と月々の実績を照らし合わせる必要があります。いま多くの会計ソフトでは予算をかんたんに登録できますので、まず予算である利益計画表を策定する必要があります。

 

1.予算はボトムから作成する
予算はボトムから、つまり最終目標から作成します。最終目標とは『当期純利益』です。
当期純利益とは、会社の貯蓄と考えれば理解しやすいでしょう。会社も家計と同じで、万が一のことや将来の設備投資のことを考えて手元資金を貯金しなければなりません。それを内部留保といい、その累計はB/Sの純資産の『繰越利益剰余金』に表示されています。

2.目標当期純利益の考え方
目標の当期純利益は直感的に自由に考えてもよいのですが、ここでは論理的な考え方をご紹介します。
目標当期純利益は次のように考えます。
  目標当期純利益=内部留保(会社の貯蓄)+借入金年間返済額

3.目標当期純利益を目標経常利益に変換する
次にそれをもとに目標経常利益に変換します。「変換」とは法人税等のことを考える、すなわち税引前に戻すということです。
目標経常利益は次のように考えます。
  目標経常利益=目標当期純利益÷(1-実効税率)
実効税率とは法人税等の負担率のことです。だいたい35%程度見込めばよいと思います。

4.目標経常利益を目標営業利益に変換する
目標経常利益を目標営業利益に変換するのはかんたんです。原則的には今期と同額の営業外損益でよいと思いますが、それを加減算すれば目標営業利益に変換できます。
  目標営業利益=目標経常利益+(営業外収益-営業外費用)

5.次期の販売費及び一般管理費を考える
次に来期の販売費及び一般管理費を考えます。基本は同額または少しでも冗費節減するということですが、人件費関係だけは増員のこととか、昇給のことや賞与のことを考えます。そうすると次期の売上総利益が決まります。
  次期売上総利益=次期販売費及び一般管理費+目標営業利益

6.次期の売上高を求める
ここまでくれば、あとは売上高を決めるだけです。売上高は売上総利益率を活用して求めます。今期の売上総利益率を参考に、同じ売上総利益率とするのか、あるいは高めるのか(売上総利益率を上げるとは売上原価率を下げるということです)、下げるのか意思決定します。売上総利益率を上げ下げすると言うことは同時に方策がないといけないことは言うまでもありません。
  次期売上高=次期売上総利益÷次期売上総利益率
  次期売上原価=次期売上高-次期売上総利益

7.最後に月次展開
これで、年間の売上高・売上原価・販売費及び一般管理費・営業外損益ができましたので、後は各勘定科目あるいは各明細に振り分け、月次展開をするだけです。
なお、月次展開には季節指数を用いてさもありそうな数値に展開する考え方と12分の1で毎月同額に展開する考え方がありますが、後者の毎月同額で展開されることをお勧めします。理由はそのほうがペースメーカー的役割を果たし、かつ記憶できるからです。特に毎月の売上目標は明確になりますし、経費に対しては抑止力にもなります。

 

これをパソコン会計ソフトに登録すれば予算管理が実施できます。また予算策定に当たってはいろいろな計画策定ソフトがありますが、エクセルでされることをお勧めします。なぜなら計画策定ソフトで作るとどうしても自動計算される部分があり、それが返ってブラックボックス化して意味がわからなくなることがままあるからです。エクセルなら、理解しながら積み上げて策定することができます。


掲載日:2015年4月22日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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