覚えなくとも読める決算書⑩

第9回 覚えなくとも読める財務諸表 -純資産の読み方-

純資産とは、自己資本のことです。 家計で言えば、正味の自己財産です。

例えば、広い土地に立派な一戸建てに住み、自家用車も外車、生活も派手そうに見える家庭であっても、それらはすべて自己財産とは限りません。ひょっとして、そのほとんどが借入金で成り立っているのかもわかりません。

会社も同じです。立派な建物に、たとえ多くの車両や設備があっても、その会社の財源は火の車かもわかりません。それを示すのが『純資産』なのです。
純資産には資本金のほかに、資本準備金や利益準備金など、数多くの勘定科目がありますが、私たち中小企業においての純資産とは、ほとんどの場合、資本金と繰越利益剰余金だけです。建物や車両等の資金の出どころが純資産であれば自社のものですが、そうではなく借入金であれば、毎月相当額の金額を返済していかねばなりません。

では、そんな純資産をどのように見ればよいのでしょうか。

 

1.純資産と資本金を比べる

まず、もっとも基本的な見方は、純資産が資本金よりも大きくなっているか、ということです。つまり、繰越利益剰余金があるかどうか、ということです。この繰越利益剰余金いままでのあなたのビジネスの成果です
もしあなたが資本金300万円で始めて、純資産が500万円あるのであれば、ともかく事業は成功してきたといえます。それに対して純資産が100万円に減っているとか、あるいはマイナスであれば(このことを債務超過といいます)、これまでの事業は成功して来なかったということを示しています。
うちはそんなことはないとお思いかもわかりませんが、いま実に、7割を超す中小企業はそのような状況となっています。ですからまずは『純資産』をみてください。これがあなたのこれまでの事業の成績です
では、どの程度の純資産になっていれば成功といえるのでしょうか。
それは 資本金+(資本金×10%×n)という式で求められます。nとは事業年度を表します。たとえば、資本金300万円で仕事を始め、8年経っているのであれば、純資産は540万円程度にはしておきたいところです。

 

2.純資産と総資本を比べる
総資本とはもうお分かりだと思いますが、会社で運用している資金の総額です。負債と純資産を足して5,000万円あるならば、あなたは5,000万円を運用して事業をしているということです。
その総資本と純資産を比べることで、自己資本の割合が確認できます。せめて会社で運用している資金の半分くらいは自己資本で賄いたいものです。そのような会社は現実には少ないわけですが、だからこそ、目標として50%程度は持ちたいものです
しかし家計であったなら、半分じゃ少ないと思いませんか?もし、家計で運用しているお金の半分が借金であったなら、大変だ!と感じられるはずです。
何度も言うようですが、事業も家計も同じです。

経営分析ではこのことを『自己資本比率』と呼んだりしています。

 

3.純資産と固定資産を比べる
固定資産とは事業にとって基盤となるものです。従って長く使用します。できるならば、そんな固定資産はすべて純資産で賄いたいものです。
家計で言えば、一番の固定資産は住宅です。なかなか大変なことですが、もし住宅ローンがなければ生活にかなりのゆとりが生まれてきます。事業も同じです。固定資産がすべて純資産で取得できていれば、事業にゆとりが生じるようになります。
したがって、固定資産と純資産を比較し、状況を把握することは大切です。

経営分析ではこのことを『固定比率』と呼んだりしています。

 

純資産はこれまであまり顧みられるものではなかったかもしれませんが、実はこれを見れば、ひと目で、これまでの事業評価をすることができます。
あなたの事業はどうでしょうか?
もし、純資産が資本金よりもあまり増えていない場合は、会計という羅針盤で経営状況を改善していきましょう。


掲載日:2015年2月18日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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