覚えなくても読める決算書⑧

第7回 覚えなくとも読める財務諸表 -買掛金の読み方-

今回からは「総資本」に移ります。
まず、おさらいです。総資本とは何でしたか?
そうです、「事業で調達している資金の出どころ」を表したものです。
調達している資金の「出どころ別集計」と考えればいいかと思います。

家計でいえば、財産の裏づけです。
たとえば、現預金が1千万円あっても、それが自己資本(自己資産、会計では純資産という)なのか、他人資本(借金、会計では負債という)なのか、がわかります。
また持ち家の場合も、それがすべて自己資産なのか、まだローンが残っているのか、がわかります。

では、一番最初に表示されている『買掛金』から説明します。

 

買掛金とは、そもそも商品仕入れや材料仕入れに対する未払代金です。
手形を使っている会社では『支払手形』もあるかもわかりませんが、性質は同じなのでそれらを併せて『仕入債務』とか『買入債務』と呼んでいます。
ここで注意を一言・・!
それは「支払手形は極力使わずにおく」ということです。
支払手形は「資金繰りが楽になる」という理由などから使用している会社がありますが、そもそも、その理由からしておかしいですね。支払手形を使わなくては資金繰りが回らない、という経営体質が問題なので、その体質改善を図るべきなのです。
では、なぜ支払手形を使わないようにお勧めするのかといいますと、実は支払手形が倒産の引き金になるからです。買掛金は少々支払が遅れても、取引先には迷惑を掛けますが、それだけで済みます。しかし手形となると、銀行取引停止になってしまいます。銀行取引が停止になると経営は二進も三進も行かなくなります。
手形を利用する理由が「資金繰り」にあるわけですから、手形を使っている会社がそのような状況に陥る可能性は元々から高いものがあります。だからこそ、手形はなるべく使わないことをお勧めする次第です。

話が横道にそれてしまいました。
買掛金の残高を評価・判定する方法には、次の3つがあります。

 

1.1日あたりの平均商品仕入高、材料仕入高と比べる

そうすると何日分の商品仕入れ及び材料仕入れに当たる買掛金または仕入債務があるのか、わかります。
通常、1ヵ月分程度の買掛金・仕入債務があってもおかしくはありません。
しかし、それ以下であれば、特別の理由がなければ、少し支払いの約定が厳しすぎるとも考えられますので、仕入先と交渉をするべきかもわかりません。

経営分析ではこのことを『支払基準買掛金回転期間又は日数』あるいは『支払基準仕入債務回転期間又は日数』と呼んだりしています。

 

2.1日あたりの平均売上高と比べる

そうすることで何日分の売上に相当する買掛金又は仕入債務があるのかわかります。
通常は最大で1ヵ月分程度、適正な分量は15日分程度です。
売上高で割っていますから、その金額には粗利分も含まれています。その金額で割って、1ヵ月分以上もあるということは、恐らく仕入過多かもわかりません。在庫なども確認して、仕入れを是正する必要があります。

経営分析ではこのことを『買掛金回転期間又は日数』あるいは『仕入債務回転期間又は日数』と呼んだりしています。

 

3.売上債権の回収期間と比べる

3つ目は、売上債権の回収期間とのバランスです。
基本的には支払期間と回収期間は同程度、できれば支払期間を少し長くしたいところです。これはそれぞれの資金繰り状況によって違うでしょうが、基本的には、少しでも『支払期間>回収期間』となるようにチェックして、支払条件・回収条件の見直し及び交渉をする努力が必要です。

 

 

どうですか、このように会計を駆使すると科学的な経営管理ができるものだと感じてこられませんか。


掲載日:2015年2月4日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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