覚えなくても読める決算書⑦

第6回 覚えなくとも読める財務諸表 -固定資産の読み方-

固定資産とは建物や機械等の設備、車両などのことです。

家計でいえば、住宅でありクルマなどです。
ここで思い当たることは、住宅を建てたり、クルマを購入するに当たって、なるべく 自・己・資・金 を貯めて購入しようとする購買行動です。不足部分は親などからも資金を得たりなどして、極力、自己資金を増やし、それでも足りない部分を長期返済できる住宅ローンや自動車ローンで補いますね。しかもその時は、自分の収入などと照らし合わせて自分の返済能力も考えてローンを組みます。

やはり事業でも同じです。固定資産を購入するときにはまず自己資本と相談します。事業における自己資本とは「資本金」であり、これまでの「繰越利益剰余金」です。純資産と呼んでいます。
それでも不足する場合は、長期の銀行借入金で調達しようとするわけですが、家計でも考えたように自社の返済能力を考慮して長期借入金を組まなければなりません。

その基本行動をもとに考えれば、自社の固定資産状況を判断するヒントが思い浮かびます。

 

1.固定資産と自己資本を比べる
固定資産とは先ほども述べたように、建物、機械設備、車両あるいは土地など、そのほとんどは有形固定資産です。
一方、自己資本とは資本金と繰越利益剰余金、つまり、純資産と呼ばれるものです。
この二つを固定資産と比べることによって、自社の固定資産度合いの適正度が判断できます。
現代の中小企業ではなかなか有りえないかもわかりませんが、基本的な考え方は固定資産の原資の半分程度は自己資本であるようにしていくべきです。
つまり、固定資産が1千万円あるのであれば、自己資本は5百万円程度はあるべきだということです。
重要なことは現状50%でなくともいいのです。大切なことは現状から徐々に50%程度へ近づけるマネジメント、経営姿勢です。

経営分析ではこのことを『固定比率』と呼んでいます。
大事なことは固定比率という言葉を覚えることではなく「自社の固定資産はなんとか自己資本の2倍以内程度の規模にしておくことを知る」ということです。

 

2.固定資産と固定性資本と比べる
もう一つの見方は固定資産の原資を自己資本だけでなく、固定負債も加えて判断します。固定負債とはちょっと難しいそうな言葉ですが、なんていうことはありません。冒頭に住宅ローンとか自動車ローンとか言いましたが、それは長期間にわたって少しずつ返済できる借金のことを言います。会計ではそれらを「固定負債」というところでまとめています。その固定負債に自己資本を加えたものを固定性資本といいます。したがって固定資産と自己資本に固定負債を加えたものである固定性資本と比べるということです。
固定資産は長い期間活かすものです。したがって固定資産の資金源は、自己資本だけでは無理であっても、固定性資本で賄っていなければなりません。そうでないと極端に言えば、住宅取得にあたって、お金が足りないからカードローンで購入するようなものです。こう説明すると、いかに固定資産を固定性資本以外に頼って取得することが異常であるか、わかると思います。
しかし意外と会社経営においては、固定資産をカードローンにも頼って購入している場合が多くあります。つまり、固定資産が1千万円あるのであれば、少なくとも自己資本と固定負債の合計は1千万円以上はないと、おかしな設備投資をしていることになります。

経営分析ではこのことを『固定長期適合率』と呼んでいます。
固定長規適合率なんていう難しい言葉、覚えられませんよね。ですから覚える必要はありません。大事なことは「自社の固定資産は自己資本と固定負債の合計以内か」ということです。そうでなければ、そうなるように経営をしていきましょう。

 

3.固定資産と利益を比べる
家計では住宅は住むのが目的ですが、事業における固定資産は利益を稼ぐのが目的です。そこの違いを認識しなければなりません。その意味で、自社の固定資産と利益(例えば、営業利益など)を比べることは重要です。
では一体どのくらい稼げばよいのでしょうか?
業種業態や業暦などによって違いはありますが、一つの標準的な目標は40%です。
つまり、固定資産1000万円の事業をしているならば、営業利益は400万円程度あるべきということです。いま、中小企業のその平均値は0.5%程度です。つまり、1000万円の固定資産を運用して、その営業利益は10万円もないということです。
あらためてこう説明すると異常だと思いませんか。しかし、これが現実なのです。

 

 

もっと会計を駆使して、自社の実情を検査しなければならないと思いませんか。


掲載日:2015年1月28日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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