覚えなくても読める決算書④

第3回 覚えなくとも読める財務諸表 -評価の仕方-

1.財務諸表の評価の仕方

財務諸表の見方は前回のとおりですが、ではその「評価」はどうのように考えれば、
良いのでしょうか。それは基本的に日常生活感覚で判断すればよいのです。

★企業・会社といえども、家計と同じです。
収入以上の生活をしていれば、いずれ破綻するように、売上高以上の経費を使って
いれば、いずれ会社も倒産します。
あるいは、借金で生活していれば一時的には遣り繰りはできていても、いずれ返済
できなくなり、破綻してしまいます。
同じように会社も過大な借金経営をしていれば、いずれ倒産します。
このように家計と同じ視点で経営状況を判断すれば、まず間違いはありません。

では、具体的に見てみましょう。

 

(1)手元資金量の判断

『手元資金量』は「現預金を平均月商と比べてみる」と前回で説明したとおりです。
平均月商とは、家計でいえば『給料』や『1ヶ月の生活費』です。
手元の現預金が1ヶ月の給料分しかない、あるいは半月分しかないとすれば、
どう思いますか。
1ヶ月分あればまだしも、まだ月末まで1ヶ月もあるのに、半月分しかなければ
心許ないですよね。 これが『判断』です。
通常、手元資金である現預金は月商の1ヶ月分以上、できれば3ヶ月分程度あったら
と思いませんか?
つまり、平均月商500万円の事業や商売をしているのであれば、手元の現金や預金は
常に1000万円から1500万円程度は
ある経営を目指さなくてはなりません。

これを会計では『手元流動性比率』2ヶ月以上とか、3ヶ月以上と云っています。

 

(2)支払能力の判断

『支払能力』は、「流動資産を流動負債と比べてみる」と前回で説明しました。
流動資産は、広義のあなたの会社の支払原資でしたね。
流動負債は、近々支払わなくてはならない支払債務でしたね。
したがって、支払わなくてはならない支払債務より、支払原資が少ないようでは
心許ないですね。 これが『判断』です。
少し冷静に考えると、支払債務はまず100%時期が来れば支払わなくてはならない
借金です。
しかし、支払原資である流動資産には『在庫』もあれば『売掛金』も入っています。
したがって、間違いなく現金・預金になるとは言い切れませんので、流動資産は流動
負債より多い状況でないと、会社経営としては「安全だ」と言い切れません。
そのように考えれば、流動資産は流動負債より1.5倍ほど多くなくては安心した経営
ではないと考えられます。
つまり、流動負債が1000万円あるのであれば、流動資産は常に1500万円以上ある
経営を目指さなくてはなりません。

これを会計では『流動性比率』150%とか、200%と云っています。

 

(3)資産活用状況の判断

『資産活用状況』は、「資産合計を売上高と比べてみる」と説明しました。
商売、事業は売れないことには始まりません。売るために、会社はいろいろな資産を
持っているともいえます。 
したがって、3000万円の資産を持って、もっとかんたんにいえば3000万円を投じて
商売しているのに、1000万円しか売れていなかったら、どう考えますか?
話になりませんよね。 これが『判断』です。
具体的に考えると、
あなたが知人から誘われて「3000万円出してくれたなら1000万円売れる商売がある
から、3000万円出してくれないか」といわれたらどう思いますか。
その感覚で、ご自分の商売や事業を振り返ってみてください。
一般的には総資産以上の売上、もっといえば、私たちの商いは小さいので、倍以上の
売上をあげないと事業としては成り立たないと考えるべきです。
つまり、総資産が5000万円あるのであれば、1億程度の売上がある経営を目指さなく
てはなりません。

これを会計では、『総資産回転率』2回転とか、3回転と云っています。

 

(4)儲けの判断

『資産活用状況』の説明をしていますと、どこかで「売ることも大事だけれど、
事業で大切なのは儲けでしょ?」という声が聞こえてくるような気がします。
そのとおりです。 商売、事業の目的は「儲ける」ことにあります。(これ大事!)
その判断は利益と、投資している総資本(金額的には総資産と同額)と比べます。
いま多くの中小企業は赤字経営だと云われています。
第三者的に見れば、お金まで出して損しているなんておかしな話だと思いませんか?
だったら、たとえ安くとも預金していたほうがいいという話になってきます。
総資本5000万円も投じているのに、儲けが赤字あるいは50万円程度では、
誰もお金を出しませんよね。 これが『判断』です。
しかし、これが多くの会社が陥っている状況なのです。
では、その感覚で考えると、どう思いますか?
そうです、総資本に対する利益率は(私たちの商いは小さいので)少なくとも10%、
できれば20%の利益を目指さないと、事業は継続できません。
つまり、総資本5000万円を投じているのであれば、500万円から1000万円程度の
利益がある経営を目指さなくてはなりません。

これを会計では、『総資本利益率』10%とか、20%と云っています。

 

こうしてみると「会計でいろいろなことがわかる」ということがご理解いただけるか
と思います。会計は『後処理』じゃ意味がないのです。かつ、経営者の皆さま自身が
活かせないと意味がないのです。 そして、会計を読むことはかんたんなのです。


掲載日:2015年1月7日 |カテゴリー:会計識字率, 経営技術

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