競争優位 PDCAマネジメント(3)

第30回 PDCA(3)

最後に一般的な財務諸表を見る視点を紹介します。
ぜひ、一度、読んでみてください。「目からウロコ」のお話です。

 

1.『安全性』という視点

『安全性』とは、事業や会社が財務上、安心して継続していけるかどうかということです。
これらの視点としては・・・

①「流動資産」(1年以内に資金になる資産)を「流動負債」(1年以内に返済する負債)で割ってみる
100%以上あれば1年以内に返済する負債は1年以内に資金なる資産で支払えるということになります。
家計感覚で判断すれば、同額では心配なので、流動負債2倍程度の流動資産は持っていたいところです。 

②「固定資産」(会社の設備)を「純資産」(自己資本=資本金+繰越剰余金)で割ってみる
100%以上あれば、設備や建物・土地は自己資金で保有しているということになります。
家計感覚で判断すれば、固定資産をすべて自己資金で保有できていれば理想的ということになります。 

③「純資産」(自己資本)と「総資本」(事業で調達している総資金=負債+純資産)で割ってみる
10%あれば、事業のために運用している資金の9割は借金ということになります。いくら立派な本社や工場であっても、
そのほとんどは借入で建てているということです。
家計感覚で判断すれば、いくらゴージャスな生活をしていても、その9割が借金であったなら、近くその生活は破綻するだろうと
容易に想像することができす。自己資本資本率10%未満で事業を営んでいる会社はホント多くありますが、いかに危うい経営を
しているかおわかりいただけると思います。

このように資産を負債あるいは総資本で割れば、いろいろな状況が判断できます。
これを『経営分析』と呼ぶわけですが、少しわかってくると「簡単なことを難しそうに思っていたんだな!?」とお分かりいただけるかと思います。

 

2.『効率性』という視点

『効率性』とは、資産や資本を効率的に販売活動に活かしているかということです。
これらの視点として・・・
①「各資産」(受取手形や売掛金や棚卸資産=在庫など)を「平均日商」(年商÷営業日数)で割ってみる
②「各負債」(支払手形や買掛金など)を「平均日商」(年商÷営業日数)で割ってみる
③「売上高」(年商)を「総資本」(事業で調達している総資金=負債+純資産)で割ってみる    などがあります。

これらも上記と同様、家計の視点で考えてみれば、会社の状況が良く理解できます。
特に『売掛金』、これではモノを買うことができません。これが1日あたりの売上高の60日分も90日分もあれば、「たくさん持っている!」と喜んでいる場合ではなく、「たいへんだ!」ということがわかりますよね。
売掛金は「創意工夫してなるべく少なくする」、これが経営の鉄則の一つです。

一つ一つの意味を自分なりの解釈で考えてみましょう。『経営分析』はそれでいいのです。

 

3.『資金力』という視点

『資金力』とは、経営を安心して続けていけるだけの資金があるかということです。
これらの視点として・・・
①「手元資金」(現金と預金)を「平均月商」(年商÷12)で割ってみる
②「借入金」(短期借入金+長期借入金)を「平均月商」(年商÷12)で割ってみる
③「預金」を「借入金」(短期借入金+長期借入金)で割ってみる
④「純資産」(資本金+繰越剰余金)を「資本金」で割ってみる       などがあります。

これらの4つのことは事業をするにあたって、いずれもたいへん重要なことです。
①は向こう何か月分の生活費を手元資金として持っているかというようなことです。
 最低でも2~3か月分のお金は持っておきたいですよね。
②は借金が月収の何倍あるかということです。
 住宅ローンを別にすればどうですか、カードローン等が月収の5倍も6倍もある生活って?
③は預金と借入の比較ですが、ある程度は持ちたいですよね。
④はこれまで続けてきた『事業の成績』です。誰しも仕事で損をしようとは思いませんよね?100万円を元手に仕事を始めたなら、それをもっと増やそうとして始めるわけです。なのに、『資本金』より『純資産』が少なくなっていれば、まさしくその状態です。多くの企業がいまそのような状況になっています。

いろいろ改善点が見えてきましたか?

 

4.『収益性』という視点

『収益性』とは、経営を安心して続けていけるだけの儲けがあるかということです。
これらの視点として・・・
①「売上総利益」(売上高-売上原価)を「売上高」で割ってみる
②「営業利益」(売上総利益-販管費)を「売上高」で割ってみる
③「経常利益」(営業利益±営業外損益)を「総資本」(負債+純資産)で
 割ってみる などがあります。

 

5.『損益分岐点』という視点

『損益分岐点』とは、儲けが出やすい収益構造になっているかということです。
これらの視点として・・・
①「変動費」(商品仕入+材料費)と「売上高」を比べる
②「固定費」(総費用-変動費)と「粗利益率」(100-変動費比率)を比べる
③「人件費」(給与賞与+厚生費)と「粗利益」(売上高-変動費)を比べる
④「損益分岐点売上高」(固定費÷粗利益率)と「売上高」を比べる
 などがあります。

これらの項目は会社の営業上の問題点を浮かび上がらせてくれます。

 

最後に金融機関が求める『財務諸表のポイント』をご紹介しましょう。

ひとつは、会社と経営者の資産が分離されているかということです。
Q.社長に対する貸付金はありませんか?
Q.個人の飲食代を経費として処理していませんか?

ひとつは、財務基盤の強化に努めていることがわかることです。
Q.繰越利益剰余金はプラスですか?
Q.繰越利益剰余金が借入金を返済できるだけありますか?

ひとつは、経営の透明性です。
Q.いつでも試算表は提示できますか?
Q.いつでも債権・債務の明細が提示できますか?

 

このようなことがわかってくると、毎月の試算表が楽しみになってきます。
そして、『楽しみ』に感じられると、会社の業績は安定してきます。

『会計』は「申告」のためにあるのではありません、「会社の状況を把握する」ために
あるのです。

 


掲載日:2014年12月10日 |カテゴリー:経営技術

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